Apple HomekitとApple Payで加速する、IoTがある日常

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「ホームアプリ」では、家庭でよくあるシーンごとにデバイスを一斉に操作できる

自分のiPhoneをiOS10にアップグレードしたら、なんだかオレンジの家のマークの付いたアプリが出てきた・・・?こんな感想を持った方も多いのではないでしょうか?実はこの家のマークのアイコンの「ホームアプリ」が制御するApple Homekitは、iOS10で初めて登場したものではなく、2014年にiOS8リリースと同時に発表 https://techcrunch.com/2014/06/02/apple-wwdc-smart-home/ したAppleのIoTプラットフォームです。

発表以来、照明、サーモスタット、ガレージのドアなどをiPhoneから操作できる製品が数多く発表されてきました。今回、iOS10で出てきたオレンジマークのアプリは、これまでバラバラに開発されてきたHomekit対応製品を一元的に管理できるようにする役割を持っています。

IoT、モノのインターネットと言っても、これまでにも冷蔵庫にインターネットが接続された画面をつけてレシピを載せるなど、物とインターネットをある意味で強引に結びつける製品はたくさんありました。いま、ここに来て、IoTが注目を集めているのは、そうした単発の製品だけでなく、いよいよIoTが私たちの生活そのものを変える可能性が出てきたというところにあります。

今回の「ホームアプリ」で何といっても画期的なところは、「帰宅」「起床」「就寝」などの「よくあるシーン」ごとに、作動するデバイスを登録して自動制御できることです。例えば、自宅に「帰宅」したときには、自動的にドアの電子錠が解除され、玄関の明かりがつき、エアコンのスイッチが入るなどの一連のシーンを登録して自動的に、魔法のように作動させることができます。

私たちの日常生活というのは、一見バラバラの行動をしているようでいて、実は決まったパターンや順番で、決まった物と付き合っているというケースが圧倒的に多いといわれています。そのため、便利なIoTといっても、いちいち何かを動作させるたびにiPhoneの個別アプリを立ち上げていたのでは、このスムーズな一連の動きが分断されてしまいます。そうなってしまえば、生活の中にIoTがあるというよりは、ギークがわざわざiPhoneを使ってIoTを意識的に楽しんでいる、と言ったほうが良い、とてもマニアックな行為でしょう。

今回の「ホームアプリ」は、シーンを取り入れてスムーズにIoTを操るという意味で、日常生活の中にIoTがほんとうの意味で自然に浸透していくためのきっかけになるのではないでしょうか。

Apple PayもIoTを意識しない日常生活に溶け込んだサービスとなる

また、2014年10月に米国で最初のサービスがスタートしてから、イギリス、オーストラリア、カナダ、中国、シンガポール、香港、フランス、スイスと普及してきたケータイ決済、Apple Payのサービス提供が、10月末にいよいよ日本でも始まりました。iPhoneのシェアが高い、iPhone大国の日本で、これだけApple Payのサービス開始に時間がかかった理由は、iPhone7にFeliCaチップを搭載する日本独自仕様のハードウェアを準備していたからです。

これまでも、Apple Payはアプリを使ったウェブ決済などでは使うことはできたわけですが、今回Suicaにも対応したFeliCaチップを搭載したことによって、アプリを立ち上げることなく、日本では馴染んだ、タッチアンドゴーのスタイルでiPhoneが定期券やおサイフ代わりに使えます。

ちなみに、今回のAppleの戦略は、日本のモバイル決済の使用シーンを最大限考慮するものであったため、日本独自のFeliCa対応であるために、日本で購入したiPhone 7を海外に持っていっても海外のApple Payサービスは利用できません。また、外国人が日本に訪れたときに海外製のiPhone7で同じようにSuicaのApple Pay対応サービスを使うことはできません。

これは一見すると、グローバルなスタンダードに背を向けた、日本のガラパゴス的状況を加速させるようにも見えるAppleの戦略ですが、ここでAppleが重視したのは、「ホームアプリ」でも重視されたような、IoTを日常生活に溶け込ませる、という思想だったといえるでしょう。

日本では、Apple Payなどで国際的なスタンダード規格であるType A/Bのケータイ決済が使える店舗はほとんどありません。アップルは「世界標準」を前提に商品開発する、国際的な規格をリードするような会社ですが、今回Apple Payのサービス開始にあたっては、国際的な規格よりも、IoTが使われる使用シーンを優先した戦略だったということになります。

まとめ

以上、「ホームアプリ」「Apple Pay」に共通するAppleのIoTをめぐる考え方を見てきました。モノのインターネットとは本来、冷蔵庫にインターネットの画面がくっついたようなもの珍しさを追求するものではなく、日常的なものの制御にそれと意識することなくインターネットが自然に使われているライフスタイルを指すのだといえます。

今回のAppleの試みは、そうしたIoTの本来の姿をしっかり見据えた戦略であるといえるでしょう。