爆発するのはスマホだけじゃない!?IT機器の危険性を探る

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サムスン電子のスマートフォン・ギャラクシーノート7の爆発は、当初無償の回収・修理(リコール)で対応していましたが、ついに10月11日に生産中止を発表することとなりました。これはトラブルで売上が落ちたなどの理由ではなく、リコールで部品を交換して修理したにも関わらず、再び発火事故が起きたためです。つまり、爆発の原因が究明できなかったことが発売中止につながったわけです。

スマホメーカーとしてはAppleにも部品を供給する超一流メーカーであるはずのサムスンが、世界最先端の技術の粋を尽くしたスマートフォンで原因不明の爆発が起きるということは、他のIT機器にもそうした危険性があるということなのでしょうか?

そもそもバッテリーは爆発しやすい!という真実

ギャラクシーノート7が発火・爆発事故を起こした時、サムスンは9月2日の第1回目のリコールで、「バッテリーに問題がある」としました。バッテリー(電池)はエネルギーを溜め込んだ物質ではありますが、「酸素」がないと燃えることはありません。逆に言えば酸素と触れてしまうと発火する危険性があるため、今回ギャラクシーノート7でも採用されていたリチウム電池でも、酸素が入り込まないように完全に密閉されているので安全とされていました。

当初はこのリチウム電池に欠陥があって、本来入り込むはずのない酸素がリチウム電池の内部に入りこんだために発火に至った、だからリチウム電池を交換すれば爆発は再現しない、というのがサムスンの見解だったわけです。

リチウム電池内部に酸素が発生するもう一つの可能性とは?

サムスンの当初の見解ではリチウム電池そのものに欠陥があったために、酸素が「外部から侵入」したという見解は、リチウム電池を交換しても発火・爆発が再現されたことでひっくり返ってしまいました。では、酸素が「外部から侵入」していないとしたら、どこから発生したのか、未だ原因は特定できていないものの、今回、どうやら酸素が「内部から発生」したという見解が有力になってきています。

スマホを使ったことのある人なら、スマホに頻繁な充電が必要なことは承知のことですが、この充電を繰り返したときに「過充電」と呼ばれる現象が起きることがあります。もともとリチウム電池の陽極といわれる部分に使われている金属には物質として酸素が含まれており、通常の充電では問題は起きませんが、温めすぎとなる現象、過充電となる現象が起きるとこの陽極の金属の内部の酸素が分離してしまうことが知られています。

とはいえ、1日に何回も充電を繰り返して使うことなど当たり前です。スマホでは設計時に何度も充電してもこの過充電が生じないように、万全のシミュレーションをしています。機能的には、充電されている容量をモニタリングするしくみが内蔵されており、バッテリーが十分に充電されたときには自動で充電が停止する安全装置が作動するようにもなっています。

しかし、今回の発火・爆発事故とではこの万全のはずの設計段階に問題があり、それがリチウム電池の過充電を誘発して、「内部から酸素が発生」したのではないか?という指摘が出てきているのです。

最先端のIT機器では、過充電を制御しきれない設計ミスも起こり得る!?

今回のギャラクシーノート7の発火・爆発の原因がリチウムイオン電池への充電や発熱制御の回路設計に問題があったならば、一つ一つ安全な製品、部品を組み合わせても最終的に爆発を引き起こす完成品が出来上がる可能性がある、ということを示すことになります。

もしも、今回の事故原因が部品ではなく設計そのものに問題があったとすれば、サムスンの「技術力」そのものが問題にされるわけですので、今後の新製品にも同じような発火・爆発の危険性がないとは言い切れません。また、同じことはサムスンという1つのIT企業だけにいえることではなく、スマートフォンやタブレットに代表されるIT機器のような複雑極まる機器すべてに起こりうる危険性の高いリスクでもあるわけです。

スマホ業界では、中国の安価なデバイスとの競争が激化しており、少しでもコストをダウンさせて最先端のデバイスを供給することが先発のメーカーの至上命題となっています。しかしこのことでいちばん大切な安全性が後回しにされるのであれば、今回のような原因の特定しにくい事故は減らないどころか、逆に増えてしまう可能性もあります。

そうなってしまっては、次々と発売される先端IT機器全般への懐疑心が強くなり、IT機器市場全体が長期的に冷え込んでいく可能性すらあるでしょう。

これからますます競争の激化する先端IT機器メーカーは、最先端の機器を安価に供給するだけでなく、消費者の信頼に応える安全な品質を確保することが急務だといえます。