東京都で客からの迷惑行為などのカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」を防ぐ全国で初めての条例が成立しました。
近年、多くの業種で顧客によるカスハラが増加傾向にあります。
「カスハラの対応に困っている…。」「カスハラを対処する具体的な方法が知りたい…。」
このように、カスハラの対応に頭を悩ませている企業も多いのではないでしょうか?
この記事では、電話でのカスハラ対策やその注意点や原因などを解説していきます。
目次
カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、厚生労働省のカスタマーハラスメント対策企業マニュアルによると、
顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの(厚生労働省カスタマーハラスメント対策企業マニュアルp7)
と定義されています。
具体的には、提供する商品やサービスに問題がないのにもかかわらず、従業員に対して暴言や脅迫、法外な金銭を要求することなどが当てはまります。
カスハラとクレームには明確な線引きはないのですが、クレームは顧客が企業の商品やサービスに対する不満や改善点を指摘しているケースが多いのに対し、カスハラは企業や従業員に対する不当な要求や理不尽な嫌がらせ、迷惑行為などが当てはまります。
通話録音は、電話でのカスハラ対策に有効な手段の一つです。
通話を録音することで、顧客から不当な要求をされている、暴言や脅迫を受けた場合に、その証拠として活用できます。
また、通話を録音していることを相手に伝えることで、過剰なクレームの抑止につながります。
さらに、過去の録音データを振り返ることで、良い対応例や問題があった場合の改善点を確認することができ、従業員のトレーニングにも活用することができます。
通話内容をテキスト化することで、録音よりも早く通話内容の確認ができます。
また、カスハラ対策のマニュアル作りに対しても、実際の事例を参考にリアルな対策方法を取り入れやすいというメリットもあります。
電話でのカスハラに対して、会社としてどのように対応するのか方針を決めておくのも重要です。
マニュアルをつくることで、従業員への被害を軽減できたり、カスハラに対して適切な対応を取ることができます。
例えば、
・非通知電話や公衆電話からの電話を着信拒否するかどうか
・電話対応でやってはいけないNG事項
・カスハラのケースごとの対応方法
などを事前に決めておくと、カスハラが起きたときに、電話対応をする人が対応しやすくなります。
厚生労働省は、カスハラの防止対策の一環として、「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」や「カスタマーハラスメント対策リーフレット」を公開しています。
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電話でのカスハラでは、思い立ったときに突然電話をかけてくるため、名前や連絡先を伝えずに一方的に苦情や要求を言い続けるケースがあります。
そのため、まずは顧客の名前・住所・連絡先などの情報を確認しましょう。
次に、商品やサービスを利用した日時、購入した商品・サービスの内容、購入場所など、事実関係を整理しながら、冷静に必要な情報を引き出すことが大切です。
顧客から話を聞く際には、途中で発言を遮ることや反論はせず、まずは一通り事情を確認しましょう。
相手の話をじっくり聞くことで、顧客を落ち着かせることにもつながります。
カスハラがエスカレートして犯罪行為に当てはまる場合は、警察や弁護士に相談してみましょう。
顧客が暴言、脅迫的な言動などを行った場合、後に刑事告訴や民事上の法的措置をとる際の証拠として残しておく必要があるので、通話の内容を録音しておくのが効果的です。
自分たちだけで問題を抱え込まずに、第三者に相談し対応してもらうのも重要です。
電話でのカスハラは、自分の要求が通るまで長時間電話を長引かせようとする場合があります。
会社として即答できることとできないことを明確に区別し、できないものについては対応できない理由を説明し、 膠着状態が一定の時間を超えた場合に再度理由を告げ電話を切りましょう。
「あなた個人としてはどう思うのか?」など、従業員個人の対応を求めるケースもありますが、あくまで会社としての回答以外はしないように徹底しましょう。
電話でのカスハラ対応をする従業員個人に対して、氏名をフルネームで教えるように迫られる場合があります。
氏名をフルネームで教えることで、従業員の名前がSNSやインターネットで検索され、拡散されたりすることがあります。
そのため、電話応対をする従業員に対して、外部には苗字までしか教えられないことにしている、とマニュアルを決め、氏名をフルネームで言わせようとする電話については応対しないなどの対応をしましょう。