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ニュースや新聞でも度々取り上げられる詐欺電話。
オレオレ詐欺をはじめとする電話による特殊詐欺は、長年にわたり社会問題として注目されてきましたが、警察庁の公表データによると、認知件数は平成30年をピークに減少傾向にあります。
被害額についても、平成26年以降は減少傾向が続いているものの、平成30年時点でも認知件数は16,496件、被害総額は約363.9億円と、依然として深刻な水準にあります。
こうした状況を受け、自治体や金融機関、警察などが連携し、社会全体で注意喚起を行う取り組みが広がっています。
一方で、犯罪組織も従来の手口が通用しなくなる中、新たな方法を次々と編み出しています。
警察庁では特殊詐欺を「面識のない不特定の者に対し、電話などの通信手段を用いて、現金や財産をだまし取る詐欺」と定義しています。
共通点として挙げられるのが、犯行の起点が電話であることです。
オレオレ詐欺やアポ電では、息子や親族を装うなど、心理的な隙を突く手口が今も多く使われています。
また、警察官や銀行協会職員を名乗り、キャッシュカードをすり替える手口も後を絶ちません。
平成30年には1,348件(被害額18.9億円)が認知されており、特殊詐欺に準じる深刻な被害として問題視されています。
なぜ、ファーストアプローチの手段が電話なのでしょうか?
特殊詐欺のファーストアプローチに電話が使われる理由は明確です。
顔が見えない状態で話を進められること、そしてメールやSMSと違い、無視されにくい点が大きな要因とされています。
対面であれば、話し方や風貌など視覚的な情報が加わるため、相手を信用させるハードルは一気に高まります。
その点、電話は声だけで信頼関係を作りやすく、相手の判断力を鈍らせる余地があります。
特に狙われやすいのが高齢者です。
統計では、65歳以上の高齢者が被害に占める割合は約8割(認知件数12,884件)にのぼっています。
聴覚や判断力の低下、そして「電話=重要な連絡」という意識が、犯行を成立させやすくしていると考えられます。
高齢者やその家族を守るため、警察や自治体ではさまざまな対策が講じられています。
その一つが、犯行に使用された電話番号に対し、警告メッセージを流す「警告電話事業」です。
一定期間、繰り返し警告電話を発信することで、実際に再犯に使われなかった番号も多く、5,032番号中3,450番号で効果が認められたと報告されています。
ただし、端末や番号を次々と変える組織的犯行に対しては、限界があるのも事実です。
そのほか、捜査過程で入手したリストをもとに、警察官による戸別訪問や、民間コールセンターからの注意喚起の電話も行われています。
加えて、高齢者宅の固定電話を留守番設定にすることも、基本的な防犯対策として周知されています。
実際、詐欺電話の9割以上が固定電話宛てであることが分かっています。
公益財団法人 全国防犯協会連合会では、特殊詐欺対策に有効な機器の普及を目的に、「優良防犯電話」の推奨基準を設けています。
主な要件は以下のとおりです。
・着信時に相手へ警告ガイダンスを流し、通話を自動録音できること
・既存の電話機に簡単に取り付けられる、または電話機本体に機能が備わっていること
・迷惑電話番号データベースと照合し、着信拒否や警告表示ができること
このデータベースには、過去に特殊詐欺などに使用された約25,000件の電話番号が登録されており、日々更新されています。

これらの取り組みや機器は一定の効果を発揮しますが、万能ではありません。
初めて使われる電話番号からの着信は、防ぎきれない可能性があるためです。
こうした課題に対し、近年注目されているのが声紋認証技術です。
クレジットカード会社などのコールセンターでは、本人確認の手間を減らすために声紋認証を導入するケースが増えています。技術の進化により、複数人が話す環境でも約95%の精度で本人を識別できるとされ、確認にかかる時間を大幅に短縮できます。
将来的には、あらかじめ登録した声以外からの着信を自動で留守電に切り替えるなど、より高度な防犯対策への応用も期待されています。
詐欺対策において重要なのは、「どこから、どんな電話がかかってきているのか」を把握することです。
コールトラッカーを活用すれば、着信元や発信経路、通話内容の傾向を可視化し、不審な電話の検知や対策に役立てることができます。
防犯機器や注意喚起と組み合わせることで、電話リスクを多面的に管理し、安心できる電話環境づくりを支援します。
見えにくい電話の実態を把握する第一歩として、コールトラッキングは有効な手段の一つです。

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