オレオレ詐欺をはじめとする電話による迷惑行為は、テレビや自治体による注意喚起が浸透している現在でも、依然として被害件数が高止まりしています。
「さすがにもう引っかかる人はいないだろう」と思われがちですが、実情は決してそうではありません。
知らない番号から突然かかってきて、投資用マンションや営業の話を持ちかけられた経験がある方も多いのではないでしょうか。
こうした迷惑電話を煩わしく感じ、無駄な時間を奪われたくないと考えるのは自然なことです。
そのニーズに応える形で、迷惑電話から身を守るためのサービスも数多く登場しています。
たとえば、スマートフォンに直接インストールできる「電話帳ナビ」のようなアプリは、詐欺や勧誘に使われた番号、公共機関の番号などをデータベースと照合し、着信時に画面へ表示してくれます。
これにより、怪しい電話には出ないという判断が可能になります。
同様の仕組みを持つサービスはほかにもあり、その品質を左右するのが「データベースの精度と運用体制」です。
なお、スマートフォン向けアプリは便利な一方で、固定電話には対応できないという制約もあります。
トビラシステムズ社が提供する迷惑電話対策サービスでは、登録された迷惑電話番号を自動判定し、ランプの色で注意喚起を行う仕組みを採用しています。
着信許可は青、注意は黄色、危険な番号は赤といった視覚的な識別により、安心して電話対応ができる工夫がなされています。これらのデータベースは、警察などから提供される詐欺電話・勧誘電話の情報をもとに構築され、原則として日次更新されているとされています。
登録件数は数万件規模にのぼり、一定の網羅性を持つ一方で、利用者からの申告情報も反映される仕組みであるため、意図せず正規の事業者番号が登録されてしまうリスクも否定できません。
ユーザーの申告をきっかけに、正当に事業を行っている企業の電話番号が、誤ってブラックリストへ登録されてしまうケースはごく稀ながら実在します。
もしそのような事態が起きた場合、どのような影響が考えられるでしょうか。たとえば、支払い督促を行うコールセンターの番号が迷惑電話として判定されれば、ユーザーは着信を危険と判断し、応答しない可能性があります。
結果として、案内を受け取っていないことを理由に支払いが遅延し、トラブルに発展することも考えられます。

同様に、重要な通知や案内を行う企業のコールセンター番号が登録されてしまった場合、「連絡が来なかった」として取引が成立しなかったり、行き違いが生じたりする恐れもあります。
こうした状況は、SNSやメディアを通じて誤情報が拡散し、風評被害につながる構造とよく似ています。
現代では、正しい情報も誤った情報も、かつてとは比較にならないスピードで広がります。
情報を扱う事業者や個人には、その影響力を十分に理解したうえでの慎重な対応が求められます。
0120、0800、050、0066、0037といった転送型の番号は、多くの場合リサイクルされています。
つまり、新しく発行された番号であっても、過去に別の事業者が利用していた可能性があるのです。
インターネット上に残った古いサイトや、紙媒体に掲載された情報など、完全に過去の利用履歴を消し去ることは容易ではありません。
そのため、番号には一定の冷却期間やクリーニング工程が設けられていますが、それでも間違い電話がゼロになるとは言い切れません。
もし、過去の利用時に迷惑電話として登録された履歴が残っていた場合、事情を知らずに運用を開始した事業者が不利益を被る可能性もあります。
悪意があったわけではないとしても、実害を受ける側にとっては納得しがたい問題です。
今回紹介した事例は決して多くはありませんが、実際に正当な事業活動を行っていた番号が迷惑電話として扱われ、ビジネスに影響を与えたケースは存在します。
迷惑電話データベース自体は、ユーザーを守るために非常に意義のある仕組みです。
しかし、その運用次第では、別の被害者を生んでしまう可能性もあります。
ユーザーからの申告を鵜呑みにせず、一定の調査や検証を行ったうえで責任をもって情報を公開する姿勢は、サービスの信頼性やブランド価値を高める要素にもなるはずです。
情報は便利である一方、とても繊細なものです。
情報を扱う事業者こそ、管理体制にも自信を持てるサービス設計を心がけたいものです。
迷惑電話や誤判定によるトラブルが起きる背景には、「電話の実態が見えにくい」という課題があります。
コールトラッカーは、どの番号から、どの広告・媒体経由で、どのような電話が発生しているのかを可視化するサービスです。
正当な問い合わせと不要な着信をデータで把握できるため、電話対応の改善やトラブル防止に役立ちます。
電話を“感覚”ではなく“事実”で判断するための仕組みとして、多くの企業に活用されています。

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