IVRという機能を聞いたことはありますか?
IVRとはサポート窓口などに電話をかけたとき、流れる音声応答の案内に沿って行うボタン操作の仕組みのことです。
日本語では音声分岐機能とも言われ、身近にある機能ですが、その呼び名は一般にはあまり浸透していないかもしれません。
割と昔から様々な電話窓口で、混雑を緩和する目的などで使われていましたが近年の人手不足や働き方改革の流れでも見直され用途も多様化しています。
ボタン操作のような一見アナログな操作よりも、チャットボットやアプリが時代には即しているという声も聞こえてきそうですが、一度の問い合わせのためにアプリをダウンロードしたり、フォーム入力して個人情報を知られてしまうことに抵抗があるというユーザーももいるという見方もできます。
また、今の時代は便利なものは多く溢れている一方で、順応できない層もいるという目線を持っておかなければなりません。
複数のチャネルを用意しておかなくては機会損失や顧客離れを招いてしまうというリスクが生まれてしまうのです。
その点、電話という問合せの方法は年齢、世代を選びません。
今回はIVRをうまくつかってビジネスに役立てているユニークな実例をご紹介します。
都内ではタクシーの配車をアプリで行うサービスが数多くリリースされています。
実際は呼びたい!と思ったタイミングからアプリをダウンロードしたり、アカウント登録するまでにも入力作業が発生したり、いざ呼ぼうと思ったのに近くにタクシーがいないということが分かり、結局電話をしたら5分後には来てくれた。
など、運用が定着するのにはまだ時間がかかりそうだなという印象を実際に抱いたこともあります。
ユーザーも、タクシー会社も、ドライバーも扱いに徐々に慣れてくことが必要だなと感じたこともありましたがMaas先進国、フィンランドではWhim(ウィム社)が提供するアプリで電車、レンタカー、レンタサイクルやバスなどがシームレスに利用できる整備が定着しつつあるようです。
トヨタ社も本気で市場を獲るために躍起になっているMaas市場のゴールは、移動がより手軽にできることだけではありませんが、現時点で日本より進んでいる国があるということは裏付けがあるようです。
しかし、ほかの国でうまくいったモデルをそのまま日本に持ってきても定着しないということはあり得ます。
ひとつの成功事例として参考にするのはよいと思いますが、高齢者の割合が多い日本ではこれまでの習慣をがらっと耐えるのには一筋縄でいかない事情があります。
実は、日本人の誰もが馴染み深い「電話」を使って配車を自動化しようという試みが実際に運用され観光地で使われているのをご存知でしょうか。
まず、観光地では都内や、地方都市のようにタクシー運転手が駅にあふれかえっているとは限りません。
タクシー運転手も、いつ送迎が必要になるか読みにくい中で、ひたすら待ち続けるくらいなら他の業務をしながらお呼びがかかった時だけ駆けつける方が生産的です。
実際に旅行客が、送迎をお願いしたい場合、送迎センターへ電話することになります。
送迎センターではスタッフが対応できるようになっていますがひとりひとりが長電話にならないよう、IVR(音声分岐)がいくつかの質問を旅行客に質問を投げかけます。
例えば、荷物を受け取った後か、人数は何人か、送迎場所はどこかをなどを確認します。
電話を切った後、送迎センターには受け付けた内容をメールで通知し、一方で旅行客の携帯端末にはSMSを自動で送られます。
携帯番号さえあれば、届くSMS(ショート・メッセージ・サービス)の特性をうまく使った仕組みといえます。