突然ですが、あなたの勤務先では社内外のコミュニケーション手段として、どのような電話番号を利用していますか?
テレワーク下の臨時策として携帯電話番号を利用しているケースを除けば、ほとんどの企業が、少なくとも外線電話用に市外局番で始まる電話番号を取得しているはずです。
ところが先日、このようなニュース記事が飛び込んできました。
“固定電話と0AB-J番号を廃止! あいおいニッセイが新しい企業電話のモデルに”
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/2202/28/news018
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社では、これまで社内で利用してきた市外局番を廃止し、全面的に050番号へと刷新したようです。
※市外局番とは・・・
主に家庭や企業の固定電話回線に利用される電話番号。0ABJ番号とも呼ばれる。
※050番号とは・・・
インターネット通信を利用して通話を行うIP電話に用いられる電話番号。
企業における電話番号への意識が変わりつつあるのかもしれません。
では、その背景にある要因とはいったいどのようなものでしょうか。
そもそも、企業が利用する電話番号にはどのようなものがあるでしょうか。
一口に電話番号といっても、実際には電話の用途に応じて番号を選択しています。
例えば、消費者からの問い合わせを受け付けるカスタマーサポートではフリーダイヤルが積極的に採用されていますし、企業への問い合わせ全般を受ける問い合わせ窓口には市外局番で始まる番号が使われています。
他にも、セールスチームがテレアポ (電話営業) を行っている企業であれば、営業担当ごとに090や080などで始まる携帯電話番号が割り当てられています。
とはいえ、ビジネスにおける電話番号に関して明確なルールが存在するわけではありません。
個人事業主や事業規模の小さな会社であれば携帯電話番号を利用する場合もあるでしょうし、通話費用の負担を嫌う会社であれば着信者に課金されるフリーダイヤルを避ける場合もあります。
ただ、少なくとも代表回線には市外局番を採用するというケースが一般的なようです。
このように多くの企業が市外局番を好んで取得するのには、いくつかの理由があります。
金融機関から融資を受ける際や、法人名義のクレジットカードを作成する際には、申請用紙の中で固定電話番号の有無を尋ねられます。
たとえ固定電話番号を持っていなくても手続き自体に支障はありませんが、社会的信用を判断されるシーンですから固定電話番号を持っていて困るということはないでしょう。
信頼性という観点から言えば、知名度の高い市外局番には消費者の信用を得やすいというメリットもあります。
電話を悪用した犯罪は古典的なものになりつつありますが、詐欺の手口が巧妙化し続けているのもまた事実です。
オレオレ詐欺や怪しい勧誘電話といった事案を日々のニュースで耳にすることが多いため、見知らぬ番号・見慣れぬ番号に対する世間の警戒心は高まっているように感じます。
とくに、チャットツールの台頭に押されて電話離れが進む若年層の消費者たちにとって、登録していない携帯電話番号や見慣れぬ形式の番号に電話などかけづらいはずです。
知名度の高い市外局番からの着信であれば、知らない番号であっても多少は警戒感が和らぐでしょう。
いまだにFAXが高い利用率を誇る日本のビジネス業界は、既にFAXが廃れた海外諸国と比較して「ガラパゴス」などと皮肉られることもしばしば。
しかし、書類の送付をFAXで指定してくる取引先がある以上、FAXの送受信ができる市外局番に信頼が寄せられるのは当然のことです。
正確に言えば市外局番以外の電話番号でもFAXを利用することができますが、その事実があまり知られていなかったり一部技術的な制約があったために「市外局番で始まる固定電話を引いておけば間違いないだろう」という価値観が定着してきたのです。