いま、広告業界に大きな変化が訪れています。
2018年に施行された欧州一般データ保護規則(GDPR)に続き、サードパーティCookieを廃止する動きが本格化してきました。
サードパーティCookieとは、Webサイト閲覧データなどの各ユーザーに紐づく情報のうち、サイトやサービスの運営者以外の第三者が取得できるものを指します。
世界各国で加速する個人情報保護の動きに対応して、AppleやGoogleといった大手IT企業もサードパーティCookieの廃止を発表したり、サイトトラッキングを防止する機能の強化を打ち出しています。
これら一連の動きは、消費者側であるユーザーにとってはポジティブなものとして捉えられるでしょう。
「サービスプロバイダがこっそり自分のデータを握っているはずだ」
「ネット上に残った個人情報が悪用されたらどうしよう」
このような不安を抱えるユーザーたちは、よりセキュアなネット利用環境に向けた取り組みを歓迎するはずです。
しかし反対に、インターネット上に広告を出稿する企業や広告代理店にとっては、サードパーティCookieの廃止が大きな衝撃をもたらしています。
第三者へのCookie提供が廃止されると、昨今の境界横断的なオンライン広告運用は大きく制限されることになります。
サービスやWebサイトを横断したユーザーデータの追跡が難しくなり、行動パターンやユーザー属性に応じてコンバージョン(CV)獲得につながるような広告戦略が成り立たなくなってしまうからです。
たとえば、私たち消費者が頻繁に利用する通販サイトの広告。
あるトピックに関するWebサイトをいくつか閲覧した後に、そのトピックに関連する商品の広告がタイムリーに表示されたという経験は多くの人がもっているでしょう。
これは、複数のWebサイトで抽出できたユーザーの興味・関心に応じて関連性の高い広告が表示される仕組みによるものですが、サードパーティCookieが廃止されればサイトを横断してユーザーの消費傾向を探ることは難しくなってしまいます。
高額な費用を投じてオンライン広告を運用している企業にとって、精度の高い戦略を取り上げられてしまうのは痛手となりますし、GoogleやYahoo!といった広告プラットフォーム運営者にしてみれば、費用対効果の低下を理由に広告主が減れば収益が削られてしまいます。
カウンタープランとして、サードパーティCookie廃止後も高精度の広告運用を提供し続けるためにGoogleが注力しているのが、自動入札機能です。
自動入札機能は、広告主が指定した広告予算の中でコンバージョンを増やすことができるように、Google広告側で広告枠への入札やターゲティング、広告レイアウトなどを最適化してくれるというものです。
ここでのポイントは、ターゲティングの最適化です。
Google以外の第三者がサイト横断的なユーザーデータを取得できなくなったかわりに、Google社自身が過去に発生したCV(コンバージョン)とユーザー属性・アクション属性にもとづいて適切なターゲットに広告を表示させてくれます。
Google社が提供するプラットフォーム内で発生したアクションであれば第三者企業へのデータ提供にはあたらないため、Google社に蓄積された個人情報を人ではなく「GoogleのAIが内部で利用している」という体裁を取ることができるわけです。
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