2030年には市場が600億円に迫ると予想される音声認識市場の動向、今回の記事では、現在使用されている音声認識製品についてまとめてみました。
音声認識サービスは、主に人が話す言語をコンピュータで解析し、その内容を文字データなどで取り出す処理を行う製品・サービスのことです。音声認識サービスの種類は、多岐にわたりますが、本記事では音声認識技術を用いて、業務効率化を目指したサービスに限定して話を進めていきます。
世界の音声認識市場は、2023 年の 126 億 2000 万ドルから 2030 年までに 596 億 2000 万ドルに、CAGR 24.8% で成長すると予測されています。(Fortune business insightが発表した記事より抜粋)
▲音声認識市場の成長予測(Fortune business insightが発表した記事より抜粋)
市場拡大が期待されている音声認識市場。まずは、パンデミック以降の市場動向をみていきましょう。
ー新型コロナウイルスの影響
新型コロナウイルスによって、オフィスの閉鎖、出社制限などにより在宅勤務を導入する企業が増加。
それに伴い、多くの企業でリモートワークのための環境づくりが行われました。社内で直接やり取りしていた会話などをオンライン化、社外でも通話できるようにオフィス向け電話をクラウドPBXにする企業が増えたことで、音声認識サービスが徐々に注目され、音声認識業界に大きなチャンスが生まれました。
ー2023年音声認識を利用したサービス
これまでは在宅勤務が円滑に進められるようにサービスが注目されてきました。2023年に入ってからは、さまざまな電話周りの業務課題を改善するために音声認識サービスが注目されているようです。
具体的に、よくある電話周りの課題と課題解決のためのツールについて例をいくつか列挙してみました。
・電話後に顧客情報データベースに通話内容をまとめることが要求され、通話に集中できない。また、記録が各人に任されているので通話記録内容にばらつきがある。
→通話後に自動で音声をテキスト化・CRMに自動入力する機能によって、顧客の対応に集中でき、通話後のデータベースに入力する後工程の負担を軽減することができるツール
・オペレーターのスパーバイザーが行うモニタリング業務の負担を減らしたい
→オペレーターの会話内容をテキスト化し、リアルタイムでモニタリング。さらに、特定のキーワードが出現したときに知らせてくれるアラートコール機能で、モニタリング業務の負担を軽減するツール
▲Omnia Linkより管理画面抜粋
・どのような話し方が営業成果につながるのか知りたい
→通話内容からラリー回数、沈黙秒数などからどのような話し方が成約につながるのかを分析するツール
▲List Navigatorホームページより管理画面抜粋
テクノロジーの進歩により、音声認識精度が向上。それに伴い、上記のように業務効率化のためだけではなく、音声という情報を基に価値を生み出す新たなサービスが生まれています。
また、約30の音声認識サービスを調査したところ、大きく2つにわけることができるのではないかと考えました。
①顧客からの架電に対応するインバウンドコールを円滑に進めるためのサービス
解決できる課題例
ーオペレーターモニタリング業務の負担を軽減
ー通話内容をテキスト化して顧客データーベースに自動的にまとめてくれる
②企業側から顧客に架電するアウトバウンドコールの課題を解決するサービス
解決できる課題例
ーアポが取れる曜日、時間帯、エリアはどこかを分析
ー商談が成功する話し方を把握するために分析
現在市場にある音声認識サービスの特徴を考慮して分類したところ、インバウンドコールに関する課題を解決し、業務改善を促進するものが多いと感じました。このことから、オペレータの負担が企業課題としてあり、関連サービスのニーズがあると感じました。また、良い営業パフォーマンスを発揮する手助けをするツールとして、今後はアウトバウンドコール向けの音声認識サービスも増えていくことが予想されます。
これからの音声認識市場の成長を妨げるものとして、句読点、アクセント、専門用語を適切に認識する精度が挙げられます。以前に比べると精度の向上が見られますが、未だにチューニング(音声を認識できるように単語を覚えさせること)に時間がかかるなど課題としてあるようです。なので、音声認識サービスを検討している企業は導入後もチューニングのサポートをしてくれるかどうかなど、アフターサービスの内容を確認すると良いでしょう。