私は現在都内、IT企業でインターン生として勤務しています。
過去には、塾講師を5年務めたこともありますが最近は電話に関する知識が豊かになってきたこともあり講師時代に感じていた問題がCTIによって改善できるという「目からうろこ」的な気づきに直面する今日この頃です。
元気な生徒達に囲まれながら、楽しく講師生活をエンジョイしていた頃の記憶を掘り返しながら、あの頃悩まされた塾業界特有の問題はどのように改善できるか考えていきたいと思います。
目次
塾にはたくさんの講師が在籍していますが、授業のない時間帯は講師室で授業の準備や資料の整理などをしています。
もう一つ塾の講師には大事な役割があります。
それは電話対応です。
私の勤務していた塾の場合ですが、一日にかかってくる電話の数は日々バラつきがあるものの50件以上。講師室からのコールを含めると100件以上ありました。
通常業務のほかにこれだけの対応が発生しているのですから、コールセンター勤務経験ありと言ってしまってもあながちウソではありません。
断っておきますが、ずば抜けて人気の塾というわけではなくこれがありふれた学習塾の日常なのです。
電話対応には、実に多くの業務改善のヒントが隠されています。
真っ先に思い浮かぶのは担当者への取次ぎ問題です。
折り返しお客様からお電話をいただいた際に、「担当へおつなぎいたしますのでお待ちください」と平静を装っていますが胸中では誰に取り次げばいいんだろう・・とざわついています。
講師室では「誰が電話したお客様からの折り返しなのか?」という担当者探しに時間を取られることがしょっちゅう起きていました。
誰が、どんな目的で連絡したか特定できないまま電話対応に当たり、待たせただけでなく要件も満たせないということが起こります。
これでは対応したスタッフにも心理的な負担が生まれるうえ、クレームにもなりかねません。
当時より知識が備わった今ならはっきり断言できますが、これは塾側がオペレーションを機能させられていないためにおこるコミュニケーションの停滞だったのです。
受験生を抱える親御さんにとって塾はただ単に学力を伸ばすだけでなく、受験による不安の受け皿としての役割をも期待しています。
個別の面談などでお話する機会もあるのですが、それでも電話の中で質問は際限なくあふれ出ます。
一件の電話が長丁場になることも珍しくありません。
「受験は家族で臨むもの。」
塾側が理解しているであろうこの本質が、塾運営に行き届いていない。
相談したいと感じているお客様のケアをなるべくコンパクトにして、新規の申込の対応を見逃さないようにすべしという塾の方針にいつしか矛盾を抱くようにもなりました。
一時間以上の長電話のすべてを記録することは、なかなか難易度の高いことです。
私も経験をしたことがありますが、メモを取った本人しか理解できないニュアンスもありますし会話に集中すればその分、メモのスピードも比例して遅くなります。
それに、善意で対応したにもかかわらず意味が伝わらなかったり、取り次いだ後の対応が満足になされなかったりということもある中で、電話対応にかけるモチベーションは次第に低下していきました。
率先して対応したスタッフにしわ寄せや、責任のたらいまわしが起こるなら「対応するだけ損。」
これは私だけでなく、同僚も口をそろえて共感していました。
相談内容を入力をするエクセルシートがあり対応履歴を残すルールがあります。
対応に集中しながら入力をすることは難しく、一度メモを取った後に入力するという形で履歴を入力します。
それでもところどころあいまいな部分もあり、記憶をたどりながらの作業となります。
さらにもうひとつ厄介な問題が「一次的なメモ」の紛失です。
メモや付箋などの紙ベースで情報伝達が主流の学習塾業界では、机上が紙の配布物や授業内で使うテキストやプリントで埋め尽くされることは日常の光景で、メモとの相性は非常に悪いといえます。
中にはメモをシュレッダーにかけてしまい、話した内容も思い出せないというアクシデントも過去一度や二度ではなかったようです。
仕事なのですから、責任をもってやり遂げるべきという大前提はもちろんあります。
しかし業務の忙しさから考えると「起こるべくして起こった」ようにも見えます。
オペレーションに改善の余地はなかったのか?という運用の甘さが招いた人的ミスのように感じる部分もあるのです。
個人のキャパを超えた仕事量はいずれ事故を招きます。
日本を出たことがない島国根性丸出しの僕が言うのも気恥ずかしいのですが、日本人はまじめで勤勉だと言います。
今までは、個人の頑張りや責任感で乗り越えてきた属人的なビジネススキームもシステムやITツールをうまく取り入れて、仕事の品質と生産性を高めようという考え方に変わってきています。
忙しすぎると人はミスを犯しやすくなるものです。
残り時間が少ないときに焦って問題を解こうとして、空回りする生徒を数多く見てきた私が言うのですから説得力もそれなりです。