あなたは外で食事しているときや、買い物をしているとき一方的にお客さんに責められている店員を見たことはありませんか?
カスタマーハラスメント(略してカスハラ)という言葉がトレンドワードに挙がってくるように理不尽なクレームや扱いに悩まされる接客業従事者は多いという話を耳にします。
必ずしも「お客様は神様だ!」という時代ではなくなってきていますが、企業活動においてやはりお客様に受け入れられなければビジネスは成り立ちません。
必ずしもすべてを受け入れる必要はありませんが、お客様の声や要望に耳を傾けることはサービス向上のヒントや新商品開発の材料が得られる大きな可能性を秘めています。
商品の受発注のみならず、お客様サポートデスクとして日々多くの電話やメール、チャットなどを相手に顧客満足度を高める役割としてコールセンターやコンタクトセンターの業務があります。
電話対応のシーンでは、スタッフの熟練度にもよりますが言った言わないなどのトラブルもしばしば起こるため、通話の録音記録を行い対応に問題があったかどうかを振り返れるようにしています。
また、自社の立場を悪くしないためという目的以外にも、お客様の声(カスタマーボイス)として活かすための試みは取り入れられています。
昔は電話の対応に注力していればよかったコールセンタースタッフもいまでは、通話後に通話内容を履歴として入力するACW(アフターコールワーク)やメールでの対応、チャットでの対応など目まぐるしさを増しています。
メールやチャットのやりとりは、テキストベースなので扱いやすいデータなのですが基本的に、通話内容は音声なので聞いてみないことには情報を取り出せないデータです。
スマートフォンやIoT製品でもみられるようになったAIの音声認識技術も、精度や認識速度が向上したためリアルタイムにテキスト化するといったことが可能になっています。
テキスト化を行うことでどのように業務に活かせるのか、次の項では紹介していきます。
コールセンター、コンタクトセンターでは大勢のスタッフが受電、発信を行っています。
管理者であるスーパーバイザー(以下SV)には通話内容を確認し、クレーム対応への的確なアドバイスを行ったり、コンプライアンスに反する案内をしてしまっていないかなどの視点でモニタリングする業務があります。
すべての音声を聞くのは物理的に難しいものがありますが、あらかじめ文字起こしされていればSVの業務量は軽くなります。
さらに、テキスト化した内容からNGワードのみを抽出するというフィルターもかけられるのですべてをチェックするのではなく絞り込みを行ったうえで確認ができるのは効率的です。
また、音声ファイルからAIが感情の分析を行うといった技術も開発が進んでおり、クレームと思われる内容を優先的にチェックするなどオペレーションの工夫にも一役買ってくれます。
普段からカスタマーサポートでは、ネットやチラシを見て、疑問を持ったお客様から質問を頂戴します。
すでにホームページのFAQ(よくある質問)に載っているような軽微な質問であれば一次応答ではシステムが対応し、自動応答やIVR(音声分岐)でふるいにかけたうえで、FAQを掲載しているホームページに誘導するなど、人の手を使わずに解決するような取り組みも珍しくなくなりました。
働き方改革は生産性を改善することが一つの重要な要素です。
人の手でおこなった方が効率がいい作業と、システムが得意とする作業を補い合いながら適切なバランスを見出すことでより効果を発揮します。
お客様の声の対応の現場では、このように処理していますが商品開発や販売促進にはどのように活かされているのでしょうか。
お客様から寄せられた要望、アンケート、クチコミなどは、対応業務だけでなく商品企画やマーケティング、サービス改善など広範囲にわたって顧客体験を高めるための貴重な情報です。
テキスト化や、タグ付けが行われていれば集計や分析も行いやすくなるためデータとしては扱いやすい状態と言えます。
これまではテキストになっていない生のデータは分析を行う上で手間もかかり、扱いにくかったため蚊帳の外に追いやられていた感がありますが技術の進歩により統合的に扱える環境が整いつつあります。