ITPとは、Intelligent Tracking Prevention(インテリジェント・トラッキング・プリベンション)の略語で、広告配信などに利用されているユーザを追跡する機能を制限する技術です。
個人情報の流出などが大きな社会問題になっている中で、Appleはプライバシー保護やセキュリティ強化を重視しており、iPhoneユーザーには特に馴染みのあるブラウザ・Safariではサードパーティ・クッキーのデータを利用可能な期間を24時間に制限するという対策をとっています。
ITPは段階的にアップデートを行っており、ITP2.1ではファーストパーティ・クッキーの有効期間も7日間に制限されています。
このように、度を超えて個人情報を収集する世の中の流れに対してCookieの追跡技術を制限する取り組みが広がっています。
Cookieの後継技術である「ローカルストレージ」を利用して成果計測を行うことで、規制の網から免れようとしたASP事業者もいましたがITP2.3ではローカルストレージも規制の対象となりいくつかの条件を満たした場合は即時削除されるようになってしまいました。
普段、聞き馴染みがないかもしれませんがアドフラウドという言葉を耳にしたことはあるでしょうか?
アドフラウドとは、ユーザーがアクセスしたようにネット広告配信サーバーをだまして広告を表示させ、広告費を詐取する不正行為のことです。
ボット(インターネットにアクセスして何らかの処理を自動的に行うプログラム)などが閲覧しているページに広告を表示させインプレッションを稼いだり、広告クリックを水増しすることにより望まない形で広告予算が食いつぶされていく状況が生まれます。
米国でも被害額が年間8000億円にも及ぶとして大きく問題視されていますが日本ではあまり話題に上ることも少なかったように思えます。
手口は年々、巧妙になっており対策しないことには不正に広告費がむさぼり続けられる状況が続いていくことになります。
CHEQ AI Technologiesが2019年に実施した世界的な調査の報告書によると、日本で直接的に経済へ及ぼす広告詐欺の被害総額は控えめに見積もっても680億円と試算されるという記述もあります。
※日本のオンライン広告費は1兆7,590億円規模とされており、広告詐欺の被害は4~10%
また、同年 世界広告主連盟、WFA(World Federation of Advertisers) の報告でもアドフラウドによる詐欺被害は、2025年までにおよそ500億ドル(約5兆4,188億円)規模にまで増加すると予測されています。
これらの詐欺による被害額は反社会勢力の収入源とされていることも指摘されており、深刻化していくとみられています。
もちろんアフィリエイトそのものが悪いということではありません。
企業やサービス側も有益なコンテンツや、記事を通じて商品が認知されていくことを望んでいます。
しかし、Cookieによるトラッキング、成果承認が難しくなってくるとASPのビジネスモデルそのものが揺らぐことになります。
オンラインでの成果承認が困難になった場合、アフィリエイトは成立しなくなってしまうのでしょうか。
実は電話を成果地点としたコールアフィリエイトという仕組みも存在し、すでに多くのASP事業者でも導入しています。
電話での成果判定ならCookieの影響を受けることなく、正しく成果の紐づけができる特徴があります。
また、アフィリエイトで扱われるサービスの中には、ネットでの購入よりも電話のほうが相性がいい商品も多く存在するためASPの多くがコールコンバージョンの導入意義を理解しています。
例えば、サイトやブログ内の情報だけではわからない質問をしたい、一度相談をしてから購入したいという商品や、高単価商材などは会話をはさむことでユーザーにも安心感が生まれます。
ランディングしたページからユーザーが電話を行い、会話の流れのまま注文を行った場合、オンライン上では成果と認識できません。
仮に、電話での成果を設けておかなければASPにも離脱と認識され、アフィリエイターの報酬も発生せずじまいです。
Cookieの規制が高まる中、しっかりと成果をトラッキングできるコールアフィリエイトは今後見直され、積極活用されていく契機になるかもしれませんね。