これまでの話をもとに、塾業界の一連の情報伝達に潜む課題を整理してみました。
第一に話したことを正確に記憶しておくのが難しいということです。
これは、電話を受けたスタッフの記憶力が悪くてということではなく、長時間の会話の中で話題があちこちに飛び火することもあり全てをメモしたとしても、後で見返しても「なんのことだっけ?」となることがあるのです。
第二に、情報を残しても見られないまま紛失するリスクがあるということです。
膨大な紙に囲まれた講師室の中にあって一片のメモ書きはもはや「木を隠すなら森の中状態」で紛失してくれと言っているようなものです。
第三に前回対応したスタッフがだれか辿りにくいということが挙げられます。
これはメモの紛失問題と似ていて、情報が集約されていれば少なくとも前回担当したスタッフが誰で、どんな内容を話したのかを辿ることができます。
そういえば、営業の人たちも対応履歴を残すということをやっているけれど同様のシステムでこれらを解決できるかもしれない。
どうやら営業の方が客先とのやり取りをつぶさに記録しているシステムはCRM(Customer Relationship Manegement)というようです。
CRMでは個人の情報に「業種」「立場」「役職」などの軸でタグ付けをして管理しやすくしています。
さらに対応履歴を紐づけられるので、たとえ担当が変わったとしてもこれまでの交渉を引き継ぎやすくなっています。
そして、やり取りの記録をデータとして残し、関係者が見られるように共有しやすく紛失しないという利点があります。
また、近年ではCTI機能をもつツールで会話内容を録音し、テキスト化した内容をCRMに送るという連携まで行えるように進化しています。
これなら長電話であっても、内容を思い出せないことに悩む必要もありませんし、引継ぎ内容の紛失といったことも防げます。
「電話で信頼を勝ち取れ」という先輩講師の言葉を覚えています。
たしかに電話による会話は信頼を得るという意味ではメールなどのコミュニケーションと比べて圧倒的に優れているように感じます。
しかし、電話のポテンシャルを活かしお客様に満足してもらうためには通話録音やテキスト化といったCTI機能を用いてきめ細かい対応を図るべきです。
電話対応で手一杯な学習塾では、授業のための準備にかけられる時間は相対的に減り、質の低い授業になってしまう可能性と背中合わせです。
電話対応に追われている学習塾こそ「質の高い授業」のためにCTIサービスとCRMを真剣に検討してみてはいかがでしょうか。