4月、新入社員の研修やOJTが始まり、これまで経験したことのない業務やコミュニケーションに戸惑いを覚えながら成長していく季節です。
毎年この時期になると、「かかってきた電話を受けるのが怖い」「営業電話をかけるのが嫌だ」といった電話に対するネガティブなニュースが飛び交います。
今年は「TELハラ」という単語がトレンド入りし、情報番組でも取り上げていたりといった動きも見られました。
当たり前のことですが、電話で話したい方がいるから電話がかかってきます。
また、お客さんにアプローチする方法は数ある中で、電話をかけるという手段を選び営業行為を行っている会社が多く存在するのには理由があるはずなのです。
ほかの手段と比べ、電話でのアプローチに優位性があるからだと考えるのが自然です。
例えば、営業メールはスルー出来ても営業電話を無視し続けることは難しいですね。
電話には営業的なメリットと、教育面でのメリットがあると感じます。
世の中には、一度も会話や顔合わせもなく購入できてしまうサービスも存在するため一概には断言できませんが、電話でのコミュニケーションから得られるスキルやマナーはビジネススキルの中でもひときわ重要です。
相手の質問の意図や、行間を読み取って的確な受け答えをする。
日常から行っていそうですがシンプルでいて難しく、頭の回転が求められます。
うまく答えたつもりでも、会話が上滑りしてしまっていては「次」はありません。
電話に限らず「話が通じない相手」と評価されるのは不名誉であり、ビジネスにおいては機会損失が起きてしまいます。
また、聞き方の姿勢や相槌ひとつとっても与える印象を大きく変えてしまいます。
真剣に聞いているのか、メモを取りながら聞いているのか、流し目に聞いているのか。
その一点だけ見ても、聞き方を意識している方は評価を上げ、無頓着であれば失点を重ねてしまうでしょう。
それぞれ会社によって考え方は異なりますが、電話での応対から学ぶことは多く、社会人としての基礎体力を養っていくには絶好の機会だと信じているビジネスマンは少なくありません。
もちろん、断られ続けるテレアポ業務はメンタルにも負荷はかかりますが、そこで得られる経験値を迂回していては与えられる仕事の幅もそれなりになってしまいます。
集中しているときにかかってきた電話を取るのは気が進まないものです。
生産性を高めるためにオフィスから雑音を取り除くべきという考え方も、スタートアップ企業などを中心に年々浸透しています。
コーポレートサイトやGoogleマイビジネスにも意図して電話番号を掲載しない企業も、今や珍しくはありません。
電話番号を掲載すると、営業電話がかかってくるので、電話窓口そのものを設置しないという考え方です。
営業電話の多くは「余計なお世話」であることが多く、時には行儀の悪い営業に当たることもあります。
不快な思いを強いられることもあるものの、不要な電話のかわし方や応酬話法のトレーニングにもなるのも事実です。
電話のデメリット、非生産的な点ばかりがクローズアップされがちですが電話がもたらしているビジネス価値は実は高いのです。