一般的に電話は一方的に時間を奪う連絡手段と言われています。
効率や生産性を追求するあまり、電話するという行為そのものを諸悪の根源のように扱う意見もありますが電話でなければ伝わりにくいような場合、緊急性を要する場合など、場面に応じて電話は必要ではないでしょうか。
近年では、ホームページの会社概要に電話番号の記載がない企業も見かけることもあります。
不要な営業電話を避ける目的であれば、一定の効果もあるでしょう。
また、ホームページやネットショップでも電話番号の記載がなく、チャットやメールフォームでしか問い合わせを受けられないようになっているものもあります。
会社によってはバックオフィスでは常に人がいるわけではないなど、リソースの関係で電話番号をあえて書いていないサービスも見かけます。
一方でサービスを受けるユーザー側が感じている心理として顔の見えない、声も聞くこともできない相手なのでどこか不安という気持ちも無視はできないのではないでしょうか。
商品やサービスに、疑問や不明点があったとしても声による相談ができないことで購入を見送る理由にもなってしまいかねません。
あと一歩のところで起きるかご落ちも最小限に抑えたいけれど、対応にあてがえるリソースも有限という歯がゆい状況に見覚えがある方もいらっしゃると思います。
企業やお店では、できるだけ無駄な電話対応に時間を奪われたくないという心理から様々な取り組みを行っているようです。
企業側の思惑としては、売上に直結しやすい問い合わせは手厚く、人がわざわざ対応しなくても解消できる内容はシステマチックに片づけたいという考えがあります。
もちろん、企業側も表立ってその考えを口にすることはないものの、問い合わせ内容をふるいにかけ優先度を見て対応する工夫は必要と考えられています。
あるネットプロバイダーの解約専用の電話はつながりにくく、「大変込み合っております。」のアナウンスで何十分も待たされるのに新規お申込みの電話番号はすぐつながった。という投稿が物議を醸したように不誠実な運営をしているとユーザーからのバッシングを浴びてしまうこともあるので節度をもった運営を心掛けたいものです。
▼コールセンターがつながりにくいという体験は見覚えのある方も多いようです。
昔某社のネットプロバイダー契約を解約しようと「解約はこちら」にある番号に何度電話しても何十分待っても「大変混み合っております」で繋がらなかったので、「開設はこちら」と書かれている番号に電話したら1秒で繋がってそこから「解約したいんで担当に繋いでくれ」とお願いして解約できた。
— 野瀬大樹 (@hirokinose) August 29, 2018
対ユーザー向けに解約しにくい状況やサポートが受けられない状況を意図的に作り上げている場合は信頼を損なう可能性があります。
しかし、一部の企業では電話を受けない労働環境を目指している企業も存在します。
集中力を乱されずタスクを遂行するうえで、電話対応がノイズと感じられるならば得るものは大きいと考えられています。
一方で、仕事は基本的に個では完結せずお客さんや対外的な協力があって活きるものなので、連絡が取りずらかったり、対応が遅かったりするとそのスタンスは顧客から見て自己中心的に見えるかもしれません。
緊急を要する連絡や重要な情報を伝えたい場合があるので、携帯電話など最終的に連絡できる手段は用意しておく気遣いがあるとよいのではないでしょうか。
また、「電話問い合わせのすべてに対応を強いられる環境」から「必要な電話問い合わせのみを切り分け対応する」仕組みにするだけでも対応負荷は減らせるはずです。
例えば「商品購入の場合は1を、製品故障の場合は2を・・・」といった音声による一次対応でボタン操作を求められる音声分岐機能(IVR機能)などは様々な問い合わせ先で利用されています。
これも、電話取次の負荷を減らして適切な担当部署につなぐというメリットがあります。
また、ホームページのFAQに記載されていても寄せられてしまう内容に手間取らないようIVRとSMSを組み合わせて記載のURLを送り解決を図ろうとする工夫も普及しつつあります。
他にも、シェアオフィスやバーチャルオフィスでは秘書代行サービスが設けられており、受付対応までを行ってくれるパッケージも多くみられます。
これは、のちほど折り返させると案内し、ヒアリング内容をメールなどで契約者に伝達してくれる仕組みです。
これも一次受けで、不要な対応に手を取られないような運用となっています。
同様のサービスとして注目を集めている「fondesk」ではオフィスの電話対応をゼロにというキャッチコピーでスタートアップやIT企業からの支持を集めています。
外部オペレータが代行対応し、slackやchatworkで通知してくれるというサービスでコミュニケーションのあり方が変わる中現代の働き方にマッチしていると定評があります。
・営業電話に悩まされずに済む。
・問い合わせ内容の可視化ができる。
といった理由が多いようですが、連絡を受けて折り返す作業(もしくはメールやchatでリアクションする)は必要となりますし対応漏れが起きてはそもそも本末転倒と言わざるを得ません。
電話で伝えたいのに、用件はテキストでほしいと言われて不快に感じる相手もゼロではないでしょう。
やはり時と場合に応じて対応や連絡手段を変える柔軟さは忘れてはいけないマナーは持ち合わせておきたいものです。